GENERAL DENTIDTRY根管治療
根管治療について
歯の神経を抜く治療(抜髄)は、重度の虫歯が主な原因です。
神経を抜いたことがある人の割合は20代~50代までの統計データによると全体で56%に上り、年齢とともに増加する傾向にあります。また、最近の統計データによると、30代~40代にかけて特に増加することが明らかになっています。
予年代別で見る
「抜髄した経験がある人」
30代で抜髄が増加する理由
①二次う蝕
二次う蝕とは、虫歯治療を行った歯が、詰め物の下で再び虫歯になることを指します。
一度治療を受けた詰め物や被せ物の下は目視て確認しにくいため発見が遅れやすく、症状が現れた時には虫歯が進行してしまい抜髄をする可能性が高くなります。
一度削ったところに虫歯ができるため、通常の虫歯よりも進行が速いことが特徴です。
また、一般的に銀歯の詰め物や被せ物の寿命は約5年といわれており、若いころに受けた治療が原因で、30代以降、二次う蝕による再治療での抜髄の可能性が高まるのです。
②生活習慣の変化
仕事や育児などによる多忙な日々が続くと、歯科医院での定期検診が後回しになりがちです。
さらに疲労によるブラッシングの簡略化や、食生活の乱れ、間食の増加などにより口腔内の環境が悪くなり、虫歯になるリスクを増加させてしまうことも大きな要因です。
またストレスを感じることにより唾液の分泌量が減り、口腔内の衛生状態が悪くなってしまうことも考えられます。
③ホルモンバランスの変化
女性特有の要因として、妊娠・出産期によるホルモンバランスの変化があります。この時期は歯周病のリスクを高め、つわりなどによりブラッシングが行えないため、口内環境の悪化に繋がってしまいます。
また、女性ホルモンの分泌が大量になることで、男性よりも歯周病を引き起こしやすいと言われています。
抜髄とは
抜髄とは歯痛の原因である歯髄の炎症を取り除く治療を行うことです。一度、歯髄炎になってしまうと強い痛みが発生します。
薬などにて一時的に痛みを和らげることもできますが、元の健康な歯髄に戻ることはありません。
そのため、炎症を起こした歯髄を取り除く必要があり、この治療を「抜髄」と呼びます。
炎症を起こした歯をそのまま放置しておくと歯髄は壊死し痛みが消えていきます。
痛みが消えた原因は歯髄が壊死したことにより痛みを感じなくなっただけで治ったわけではありません。
この状態の場合は、「感染根管治療」が必要になります。
歯の神経(歯髄)とは
歯は人の身体の中で、一番硬い組織「エナメル質」に覆われています。
その中には神経と呼ばれる「歯髄」というやわらかい組織が、根の先から顎の骨の中にある神経や血管と繋がっています。
エナメル質には神経が通っていないため、痛みを感じることはありませんが、虫歯が進行し象牙質まで進行すると、象牙質に空いている無数の穴(象牙細管)を通って歯髄に伝わり痛みを感じるようになります。
このように歯髄は虫歯などによる歯の痛みや異変を察知し、症状を知らせる役割を担っています。
虫歯が歯髄まで及ぶと神経を保存することができないため、神経を取り除く処置「抜髄」が必要になります。
根管治療について
根管とは歯根(歯の根っこ)の内部の神経や血管が入っている細い管状の部分を指します。
根管治療とは、歯の内部に入った細菌と神経を取り除き、根管内をきれいにすることで痛みや腫れの症状を取り除く治療です。
根管治療の流れ
-
1
- 1回目(歯髄除去・洗浄)
- 咬合面を削り、根管内の感染した歯髄や歯根の先に溜まった膿を専用の器具で掃除して細菌を除去し消毒を行います。
-
2
- 2回目~(根管洗浄)
-
根管内がきれいになるまで、根管洗浄を数回繰り返します。
症状などによって根管内の状態が変わるため、感染が強いケースだと回数が多くかかる場合もあります
-
3
- 根管充填
-
根管内に膿などの症状がないことを確認ができたら、根管の先端まで隙間が入らないように最終的な薬剤を詰めます。
術後にレントゲン撮影を行い薬剤の詰まり方を確認します。
-
4
- 土台+仮歯
- 根管充填後に痛みや腫れが出ず症状が安定していれば、歯と同じような弾性のあるファイバー素材で土台を立てて仮歯を入れます。
根管治療の成功率
根管治療の成功率は保険診療の場合、約30%から50%程とされています。
その理由として、保険診療では使用できる道具や材料、時間などに制限があるためです。
ところが自費診療の場合は、約90%にまて成功率が上がります。
これは、材料や道具などの設備を整え再発のリスクを抑えた「精密根管治療」を行えるからです。

精密根管治療(自費診療による根管治療)
MTAセメントを用いた根管充填
根管治療が終わり、神経を取ったスペースに薬剤を詰めていくことを「根管充填」といいます。保険診療で使用される根管充填では天然ゴムを原料としたものが最も一般的に使用されています。この素材は単にスペースを埋めるための意味合いで使用されていて、生体適合性や殺菌性はありません。
精密根管治療で使用するMTAセメントは封鎖性に優れており、根管治療の成功率を大幅に上げることが可能になりました。

MTAセメントの利点
-
- ①優れた殺菌性
-
多くの細菌は酸性には強いもののアルカリ性には弱く、PH9.5で死滅すると言われています。MTAセメントの練和直後はPH1O.O程度ですが、3時間後にはPH12.5と強アルカリ性を示し、高い殺菌性を発揮します。
根管治療では、徹底的な殺菌と再感染の予防が重要ですが、どんなに根管治療中に殺菌を行っても、完全な無菌状態を維持することが難しく、わずかに虫歯菌が残ってしまいます。
そこでMTAセメントを根管充填剤として使用することにより、その優れた殺菌効果て残った細菌を死減させることで根管治療が上手く行き、天然歯を残せる可能性を上げることができるのです。
-
- ②封鎖性が高い
-
保険診療で使われるガッターパーチャポイントは、それ自体に歯質に接着する性質がないため、シーラーと呼ばれる接着剤を用いる必要があります。
歯科で使用される接着剤(セメント)は時間が経つと縮む性質があるため、治療から数年経過すると根管内に隙間ができ、細菌が侵入するリスクが高まります。
しかし、MTAセメントはそれ自体に歯質接着性があり、歯科で唯一固まると膨らむ性質を持っており、時間が経っても根管内に隙間を作らず、細菌が繁殖しにくい状態をキープすることができます。
-
- ③生体親和性がよい
- MTAセメントは、細胞がこの上で培養できるほど身体に優しく親和性に優れた物質です。そのため使用しても身体への影響が少ないと考えられます。
-
- ④親水性が高い
-
根管充填を行う際は、完全に乾燥しているのが理想ですが、血液や浸出液などを完全に除去することは難しいです。
その点、MTAセメントは親水性があるため、根管内に多少の血液や水分が残る浸潤環境下でも劣化することがありません。
ラバーダムによる無菌的処置
根管治療の成功率を上げるためには、無菌状態で根管内を密閉封鎖することが鍵になります。
自費の根管治療では、ラバーダムといわれる薄いゴム製のシートを歯に装着して治療を行います。この装置を使用することで、唾液や細菌が根管内に混入することを防ぐことでき、無菌状態で治療をすることができます。

ニッケルチタンファイル
根管治療では、感染部分を取り除くために「ファイル」と呼ばれる器具を使用します。
保険診察ではステンレス製のファイルが一般的ですが、自費診察ではニッケルチタン製のファイルを使用し治療を行います。

再治療のリスクを減らす
同じ歯で再治療を繰り返すと歯を失うリスクが高くなります。
これは、何度も歯を削ったり、根管治療を繰り返すと、歯が薄くなり割れてしまうリスクが高まるからです。
また、根管内で増殖した細菌が歯槽骨まで及ぶと、根管治療を行なっても再生が望めず、最終的に抜歯となり歯を失ってしまうことにつながります。
根管治療の成功率は初回治療かどうかや、根の状態や感染の度合いによっても変わりますので、まずはカウンセリングをおすすめします。
精密根管治療で歯の寿命を延ばす
精密な根管治療は、再治療のリスクを最小限に抑え、歯の寿命を伸ばすための大切な治療です。
そのため、当クリニックでは「精密根管治療」をおすすめしています。
歯のお悩みがある方や、他院で抜歯を勧められた方へのセカンドオピニオン、その歯を残すために最適な治療をご提供いたします。
精密根管治療をご希望の方は、無料初診カウンセリングにて治療計画を立てさせて頂いた後、治療を行いますのでお気軽にお問い合わせください。