COLUMNコラム
2026年10月2日コラム
食事中に前歯が欠けたら?まず行う応急処置と破片の保管方法

目次
破片を手にしたまま、まず何から始めるか
夕食の途中、以前治療した前歯がポロッと欠けた。手元の破片を洗っていいのか、明日の仕事までどう過ごせばいいのか、迷う方は多いはずです。この記事では、すすぎ方、出血への対処、破片の保管、受診まで控えたい行動、歯科医院へ電話するときに伝える内容を順に整理しました。破片は捨てずに、乾かさないまま保管しておくことが最初の一歩です。
この記事の要点まとめ
- 食事を止めて口を軽くすすぎ、出血がある場合は清潔なガーゼで10分ほど押さえます。
- 破片はこすらず、牛乳か生理食塩水に浸して乾燥を防ぎ、容器に入れて受診時に持参します。
- 接着剤で貼らず欠けた歯でかむのを控え、痛みや腫れ、出血、破片の状態を歯科医院へ伝えます。
前歯が欠けた直後の応急処置は、この順番で

まず口を軽くすすぎ、欠けた場所と出血を確かめる
食事をいったん止め、口に残った細かなかけらは飲み込まずに吐き出します。そのあと水かぬるま湯を少量含み、1〜2回やさしくすすぐ程度で十分です。勢いよく何度もすすぐと、出血が続きやすくなります。鏡で欠けた位置を見て、歯茎や唇に傷がないかも確かめておきましょう。切り口のザラつきが気になっても、舌や指で触り続けるのは控えてください。
出血があれば清潔なガーゼで押さえる
歯茎や唇から血が出ているときは、清潔なガーゼかハンカチを当て、10分ほどやさしく押さえます。何度も外して確かめると、止まりかけた出血がまた始まりがちです。押さえ続けても止まらない、血が口からあふれてくる、息苦しさがある。そんなときは歯科にこだわらず、救急の医療機関へ早めに相談してください。
見つけた破片は乾かさず、容器に入れて持参する
破片はこすり洗いをせず、汚れがあれば水で軽く流すだけにします。清潔な容器か密閉できる袋に入れ、歯の破片と思われるなら生理食塩水か牛乳に浸して乾燥を防ぎましょう。破片を再び接着する治療が検討される例も報告されています1。以前の詰め物なのか歯そのものなのか見分けがつかなくても、捨てずに受診時に持参してください。使えるかどうかは診察で判断します。
受診までに避けたい行動と、症状ごとの急ぎ方
破片を接着剤で貼らず、欠けた前歯でかまない
破片を元の位置に戻そうとしたり、市販の接着剤で貼り付けたりするのは避けてください。歯の表面に接着剤が残ると、診察や処置の妨げになります。食事は欠けていない側の奥歯で。せんべいや氷のような硬い物、極端に熱い物や冷たい物も控えめにしましょう。歯磨きは患部を避け、やわらかい毛先で周りをそっと磨く程度で構いません。
痛み・腫れがあるときと、出血が止まらないとき
痛みや腫れがあれば、タオルで包んだ保冷剤を頬の外側から短時間ずつ当てます。市販の鎮痛薬は添付文書の用法・用量を守りましょう。持病がある方、ほかに薬を飲んでいる方は、購入時に薬剤師へ確認しておくと安心です。強い痛み、腫れの広がり、止まらない出血、歯のぐらつきや位置のずれがあれば、翌日を待たずに連絡してください。
歯が丸ごと抜けた場合は、欠けた破片と扱いを分ける
転倒やスポーツで大人の歯が根ごと抜けた場合(歯の脱落)は、破片とは対応が変わります。歯の頭の部分を持ち、根には触れず、こすらないこと。汚れていれば牛乳か生理食塩水で軽く流し、同じ液に浸して乾燥を防ぎます2。時間がたつほど歯の根の周りの組織が傷みやすくなるため、夜間でもできるだけ早く歯科へ相談してください。
痛みが少なくても前歯の欠けを相談したい理由
欠けた歯は自然には戻らず、放置中に症状が変わることもある
歯の表面のエナメル質や内側の象牙質は、骨のように自然に元へ戻ることはありません2。今は痛くなくても、欠けた面から冷たい物がしみたり、細菌が入り込んで虫歯につながったりすることがあります。神経がダメージを受けていると、数週間から数か月後に歯の変色や歯茎の腫れとして現れる場合もあります3。そのため、処置のあとも経過観察を続けることがあります。
破片が使える場合と、別の方法で修復する場合
欠けた範囲が小さく、破片がきれいに残っていれば、再接着が検討されることがあります1。ただし、再接着した破片はその後外れる可能性があると報告されています4。再接着で起こりうる主なリスクには、次のようなものがあります。
- 接着した破片が外れる、または再び割れる
- 接着した境目が目立つ、時間とともに色の差が出る
- 冷たい物がしみる、神経の炎症によって歯が変色する
破片が使えないときは、歯の色に近い樹脂(コンポジットレジン)やセラミックで形を補う方法が一般的です5。神経まで達しているか、根の部分まで割れていないかによっても、選べる方法は変わります。
治療にかかる日数と費用は、診察後に確認する
小さな欠けなら1回の処置で済むこともあります。一方で、神経の治療や被せ物が必要になり、複数回の通院になることもあります。費用は、保険診療の樹脂による修復でも、処置内容によって幅があります。
自由診療(公的医療保険の適用外)のセラミックによる修復は、歯の形を整えて型を取り、技工所で作ったセラミックの被せ物や詰め物を取り付ける治療です。通院回数は一般的に2〜4回程度、期間は2週間〜1か月程度が目安ですが、神経の治療が必要な場合はさらに長くなります。費用の一般的な相場は、前歯の被せ物で1本あたり8万〜20万円程度です。ここでの費用は一般的な相場であり、当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関によって異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。
セラミックによる修復で起こりうる主なリスク・副作用には、次のようなものがあります。
- 強い力がかかったときの割れや欠け
- 歯を削ることによる、しみる症状や神経への負担(あとから神経の治療が必要になることがあります)
- かみ合わせの違和感、被せ物と歯茎の境目の変化
こうした点も含めて説明を聞いてから選びましょう。
足立区で前歯が欠けたときの受診・連絡の進め方
診療時間外なら、足立区で利用できる歯科救急の窓口を探す
かかりつけの歯科医院に連絡がつかない夜間や休日は、足立区や地域の歯科医師会が案内している休日応急歯科診療を確認しましょう。東京都の医療機関案内サービス「ひまわり」でも、対応できる窓口を探せます。出血が止まらない、顔の腫れが急に広がるといった場合は、朝まで様子を見ずに東京消防庁の救急相談窓口(#7119)などへ相談してください。
都歯デンタルクリニックへの電話で伝えること
電話の前に、次の項目をメモしておくと話が早く進みます。
- 欠けた日時ときっかけ(食事中、転倒など)
- 痛み・出血・ぐらつきの有無
- その歯を以前治療したことがあるか
- 破片の有無と保管のしかた
- 受診できる曜日や時間帯(仕事やお子様の送迎の都合も含めて)
受け入れ可能な日時は、電話口で確認してください。
診察では欠けた範囲を確認し、処置の見通しを相談する
保管した破片は、容器ごと持参しましょう。診察では欠けた範囲や神経への影響、周囲の歯や歯茎の状態を確認します。外から見えない根の様子は、必要に応じてレントゲンや歯科用CTで調べます2。修復方法は欠け方によって複数の選択肢があります5。当クリニックでは、それぞれのメリット・デメリットや費用を事前に説明し、患者様のご希望を伺いながら治療方針を一緒に考えることを大切にしています。費用や通院回数など気になる点を紙に書き出しておくと、限られた診察時間でも聞き漏らしを減らせます。
よくある質問
Q1. 欠けた歯は自然に治りますか?
A. 歯の硬い組織は、皮膚や骨のように自然に元へ戻ることはありません。痛みがなくても欠けた部分はそのまま残るため、しみる・変色するといった変化が出る前に歯科医院で状態を確認してもらうと安心です。
Q2. 歯が欠けたまま1週間ほど様子を見てもかまいませんか?
A. 小さな欠けでも、切り口から細菌が入り込んだり、鋭い角で舌や頬を傷つけたりすることがあります。神経へのダメージは後から現れることもあるため、予定を調整して早めに受診することをおすすめします。
Q3. 歯が折れた場合、治療は何日くらいかかりますか?
A. 欠け方によって大きく異なります。樹脂で形を補うだけなら1回で終わることもあります。神経の治療や被せ物が必要な場合は、数回から数か月の通院になることもあります。診察で状態を確認したうえで、見通しの説明を受けてください。
Q4. 大人の歯が根ごと抜けてしまったら、どうすればいいですか?
A. 歯の頭の部分を持ち、根には触れないようにしてください。牛乳か生理食塩水に浸して乾燥を防ぎ、できるだけ早く歯科医院へ連絡しましょう。夜間や休日であれば、地域の休日応急歯科診療や救急相談窓口を利用してください。
Q5. 欠けたのが以前の詰め物か歯か分からないとき、破片は洗ってもいいですか?
A. こすり洗いは避け、汚れを水で軽く流す程度にとどめてください。見分けがつかない場合も、牛乳か生理食塩水に浸して乾燥を防ぎ、受診時に持参すると診察の手がかりになります。
参考文献
1. Khandelwal P, Srinivasan S, Arul B, et al. Fragment reattachment after complicated crown-root fractures of anterior teeth: A systematic review. Dental Traumatology. 2021. PMID: 32813931 / DOI: 10.1111/edt.12602
2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
3. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
4. Tewari N, Cehreli Z, Haldar P, et al. The risk of bonded fragment loss in crown-fractured anterior teeth managed by fragment reattachment: a systematic review and meta-analysis. Evidence-based dentistry. 2024. PMID: 38609648 / DOI: 10.1038/s41432-024-01003-9
5. Paulina, Dhawan P, Jain N. Treatment Modalities of Uncomplicated Crown Fracture in Anterior Maxillary Permanent Teeth: A Systematic Review. Journal of Esthetic and Restorative Dentistry. 2025. PMID: 39420732 / DOI: 10.1111/jerd.13340
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