「ブルーラジカルという新しい歯周病治療があると聞いたけれど、どんな治療なの?」「歯ぐきを切らずに治療できるなら、試してみたい」。重度の歯周病を指摘された方や、これまでの治療で十分な改善が得られなかった方のなかには、このように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ブルーラジカルとは、青色レーザーと過酸化水素による殺菌作用に、超音波による歯石除去を組み合わせた歯周病治療です。歯ぐきを切開せずに歯周ポケット内の細菌や歯石にアプローチでき、重度歯周病に対する治療の選択肢として注目されています。
ただし、ブルーラジカルを受ければ、どんな歯周病でも治るわけではありません。歯周病の進行度や歯を支える骨の状態によっては、別の治療や抜歯を検討する場合もあります。
私は歯科医師として、新しい治療方法の特徴だけでなく、適応や限界まで理解したうえで選択することが大切だと考えています。この記事では、ブルーラジカルの仕組み、従来の歯周病治療との違い、対象となる方や注意点について、初めての方にもわかりやすく解説します。
- 01ブルーラジカルP-01は、ステージⅢ・Ⅳの歯周炎に対する治療を目的として承認された医療機器です。
- 02青色レーザーと3%過酸化水素による殺菌、超音波による歯石除去を組み合わせています。
- 03歯ぐきの切開を伴わない治療ですが、すべての歯周病に適応するわけではありません。
- 04失われた歯槽骨が必ず再生するわけではなく、治療後も歯磨きや定期管理が重要です。
目次
ブルーラジカルとは?重度歯周病に用いる新しい治療器
ブルーラジカルは、歯周病治療器「ブルーラジカルP-01」を用いた歯周病治療です。東北大学と企業の共同研究によって開発され、2023年7月に医療機器の製造販売承認を取得しました。その後、歯科医療機関での導入が始まっています。
一般的な歯周病治療では、歯の表面や歯周ポケット内に付着した歯石・プラークを除去し、炎症の原因を減らしていきます。ブルーラジカルは、こうした機械的な清掃に光と過酸化水素の反応を利用した殺菌機能を組み合わせている点が特徴です。
厚生労働省の承認を受けた医療機器
ブルーラジカルP-01は、PMDAが公開する添付文書において、ステージⅢまたはⅣの歯周炎に対し、歯周ポケット底部の殺菌と超音波スケーリングを同時に行うことを使用目的として記載しています。つまり、重度の歯周炎に対する治療に用いることが承認されている医療機器です。
ただし、医療機器として承認されていることと、すべての患者さんに確実な治癒が保証されていることは同じではありません。適応の確認には歯科医師による診査・診断が必要です。
ブルーラジカルはどのような仕組みで歯周病菌に作用する?
歯周病は、歯の表面などに付着した細菌性プラークが主な原因となり、歯ぐきに炎症を起こす病気です。進行すると歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨などの組織が破壊される場合があります。ブルーラジカルは、歯周ポケット内の細菌や歯石に対し、主に3つの仕組みを組み合わせて作用します。

① 青色レーザーを照射する
ブルーラジカルP-01には、波長405nmの青色半導体レーザーが搭載されています。この光を専用の過酸化水素水と組み合わせて使用します。青色レーザーだけで歯周病が治るというものではなく、過酸化水素との化学反応を利用することが特徴です。
② 過酸化水素との反応で殺菌作用を生み出す
3%過酸化水素水に青色レーザーを照射する反応で、活性酸素の一種である「ヒドロキシルラジカル」が生成されます。ヒドロキシルラジカルには強い酸化作用があり、歯周ポケット内の細菌に対する殺菌作用が期待されます。
ただし、機器の殺菌性能を示す「99.99%殺菌」などの数値は、患者さんの歯周病が99.99%の確率で治るという意味ではありません。
③ 超音波振動で歯石やプラークを除去する
ブルーラジカルP-01には超音波スケーラーの機能も備わっています。専用チップを用いて、歯周ポケット内の歯石などの沈着物を除去しながら殺菌処置を行います。
つまり、ブルーラジカルは光だけを当てる治療ではありません。ラジカル殺菌と超音波スケーリングを組み合わせ、歯周病の原因にアプローチする治療器です。
ブルーラジカルでできること・できないこと
新しい治療を検討するときには、期待できる効果だけでなく治療の限界も理解しておくことが重要です。

期待できること
- 歯周ポケット内の細菌に対する殺菌
- 超音波による歯石・プラークの除去
- 歯周組織の炎症改善を目指すこと
- ポケットの深さ・出血の改善を目指すこと
- 症例により切開を伴わない選択肢となること
保証できないこと
- すべての歯周病を確実に治すこと
- 失った歯槽骨を必ず再生させること
- 大きく揺れる歯を必ず残すこと
- すべての歯周外科手術を不要にすること
- 治療後の清掃・定期管理を不要にすること
治療後には、歯周ポケットの深さや出血、歯の動揺などを再評価します。結果は歯周病の進行度や治療への反応によって異なります。
特に、「歯周病菌を減らすこと」と「失われた歯を支える骨が再生すること」は別の問題です。すでに骨が大きく失われている場合、炎症が改善しても元の骨の形に戻るとは限りません。「抜歯と言われた歯でも必ず残せる」と考えることは避けましょう。
ブルーラジカルはどんな人が対象になる?
ブルーラジカルP-01は、承認上、ステージⅢ・Ⅳに該当する歯周炎の治療を目的としています。一般的にステージⅢ・Ⅳは歯を支える組織の破壊が進んだ重度の歯周炎を含む分類ですが、患者さんご自身でステージを判断することは難しく、精密検査が必要です。
治療を検討するきっかけになる症状
- 歯ぐきから繰り返し出血する
- 歯ぐきが腫れたり、膿が出たりする
- 歯がグラグラするようになった
- 歯周ポケットが深いと言われた
- これまでの歯周病治療で十分な改善がみられない
- 歯周病の外科治療に不安がある
これらの症状があっても必ずブルーラジカルの対象になるわけではありません。また、自覚症状が少なくても歯周病が進行している場合があります。
歯周ポケットが4mm以上なら治療できる?
当院の公式サイトでは、歯周ポケット4mm以上の部位をブルーラジカル治療の対象として案内しています。ただし、4mm以上という数値だけで治療の適応が決まるわけではありません。承認上の使用目的や病気の進行度、骨の状態、全身状態などを総合的に判断します。検査結果によっては、通常の歯周基本治療を優先する場合もあります。
従来の歯周病治療との違い
歯周病治療には複数の方法があり、ブルーラジカルが新しいからといって従来の治療が不要になるわけではありません。
歯周基本治療が重要な理由
歯周病治療では、歯磨き指導や歯石除去などの歯周基本治療が重要になります。細菌性プラークは日常的に付着するため、歯科医院で処置を受けるだけでなく、患者さん自身が毎日清掃する必要があります。日本歯周病学会も、適切なブラッシングによるプラークコントロールを重視しています。
3つの治療方法の役割を比較
| 治療方法 | 主な役割 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 歯周基本治療 | 歯磨き指導・歯石除去・原因の管理 | 歯周病治療の基本となる |
| ブルーラジカル | ラジカル殺菌と超音波スケーリング | 重度歯周炎などで適応を判断する |
| 歯周外科治療 | 歯ぐきを開いて深部の処置や再生療法などを行う | 基本治療後の状態に応じて検討する |
ブルーラジカルの特徴は、歯ぐきを切開せずに機械的な清掃と殺菌を組み合わせられることです。一方、深い骨欠損などがある場合には歯周外科治療が必要になる可能性もあります。最も大切なのは、今のお口の状態に合う方法を選ぶことです。
ブルーラジカル治療の基本的な流れ
ブルーラジカル治療は、来院してすぐ機器を使用するだけで完了するものではありません。当院では歯周病の状態を確認し、必要な前処置と治療後の管理も含めて計画します。
STEP1|カウンセリング・歯周精密検査
現在の症状や過去の治療についてお話を伺い、歯周ポケットの深さ、出血、歯の動揺、レントゲン画像などを確認して適応を判断します。必要に応じて追加検査を行う場合があります。
STEP2|歯石除去や口腔環境の改善
歯石・プラークの除去、歯磨き指導、噛み合わせの確認など、原因をコントロールする基本的な処置を行います。
STEP3|ブルーラジカルによる処置
歯科医師が適応を判断した部位に専用の機器を使用します。当院では1歯あたり平均5分程度の処置時間を案内していますが、部位によって異なります。これは機器を使用する時間の目安であり、検査や麻酔を含む来院時間全体ではありません。
STEP4|再評価・メンテナンス
歯ぐきの炎症や歯周ポケットの状態を再評価し、追加治療の必要性や定期管理への移行を判断します。通院回数は治療範囲や受診方法によって異なります。
痛み・副作用と治療前の注意事項
ブルーラジカルは非外科的な治療ですが、「切らないから無痛」「副作用がない」という意味ではありません。
治療中に痛みを感じることはある?
歯周ポケット内に器具を使用するため、局所麻酔を行う場合があります。痛みや違和感の程度には個人差があり、麻酔を使ってもすべての方が無痛で治療を受けられるわけではありません。
治療後に起こる可能性がある症状
当院の公式サイトでは、治療中や治療後の痛み、歯ぐきの腫れ、過酸化水素による一時的な歯ぐきの白色変化、歯がしみる症状、炎症改善に伴う歯ぐきの位置の変化、まれな腫れなどのリスクを案内しています。症状の程度や経過には個人差があります。
強い痛みや急な腫れなど、気になる変化がある場合は、自己判断で様子をみ続けず歯科医院に相談してください。
治療を受けられない場合がある
添付文書には、無カタラーゼ症や光線過敏症、ペースメーカーを使用している方について禁忌・禁止事項が設けられています。当院は妊娠中や局所麻酔ができない方などについても治療を受けられない場合があると案内しています。
持病、妊娠の可能性、ペースメーカーの使用、服薬状況などは治療前に必ず歯科医師へ伝えてください。
ブルーラジカルの費用と保険適用
ブルーラジカル治療は当院では自由診療としてご案内しており、一般的な保険診療の歯石除去とは費用の扱いが異なります。
| 費用項目 | 当院掲載料金(税込) |
|---|---|
| カウンセリング | 無料 |
| ブルーラジカル治療料・1歯 | 15,400円 |
| 4歯を治療する場合の処置料 | 61,600円 |
| 歯周検査診断料 | 22,000円 |
※4歯61,600円は処置料の計算例であり、検査などすべてを含む総額とは限りません。歯周検査の費用や保険診療の扱いは受診条件によって異なります。最新の料金・受診条件は当院のブルーラジカル診療ページでご確認ください。
1歯あたりの料金だけでなく、検査から治療後の管理まで含めた総額を確認しましょう。
治療後も大切な歯周病の継続管理
ブルーラジカルの治療を受けた後も、歯周病の管理は続きます。歯周病の原因となるプラークは治療後も日常生活のなかで再び付着するためです。喫煙や糖尿病などの全身状態、歯磨きの状況なども影響します。
- 歯ブラシや歯間清掃用具を使った毎日の清掃
- 歯周ポケットや出血などの定期的な確認
- 歯科医院での専門的なクリーニング
- 噛み合わせや歯の動揺の確認
- 必要に応じた生活習慣や全身状態の管理
当院は希望者向けの歯周病治療サポートアプリ「ペリミル」も案内していますが、アプリだけで管理が完了するわけではありません。
ブルーラジカルによる処置と日常のセルフケア・定期管理を組み合わせることが大切です。
A. すべての歯周病が完治するわけではありません。歯周病の進行度や骨の状態によって結果は異なり、再評価と継続管理が必要です。
A. ブルーラジカルP-01には青色半導体レーザーが使われています。ただし単純な光照射ではなく、3%過酸化水素との反応による殺菌と超音波スケーリングを組み合わせる点が特徴です。
A. 機器による処置は1歯あたり数分程度ですが、検査や事前の歯石除去、再評価、メンテナンスなどが必要です。治療全体が1回来院で終わるとは限りません。
A. 歯を残すための治療選択肢になる場合はありますが、必ず抜歯を避けられるわけではありません。骨の喪失が大きい場合は別の治療も検討します。
A. 歯周ポケット内の殺菌と超音波スケーリングを目的とする医療機器であり、失われた歯槽骨を必ず再生する治療ではありません。骨の状態によっては別の再生療法などを検討します。
A. インプラント周囲炎に対する有効性については臨床研究が進められていますが、天然歯のステージⅢ・Ⅳの歯周炎に対する承認と、インプラント周囲炎での有効性検証は区別する必要があります。疑われる場合はまず診査を受けて治療を相談してください。(参考:臨床研究等提出・公開システム「ブルーラジカルP-01を使用した非外科的インプラント周囲炎治療の臨床的有効性の評価」)
A. ブルーラジカルP-01を導入している歯科医院での受診が必要です。導入医院でも患者さんの歯周病の状態や全身状態により、適応にならない場合があります。
ブルーラジカルは、青色レーザーと過酸化水素による殺菌作用に超音波スケーリングを組み合わせた歯周病治療です。歯ぐきの切開を伴わず処置できることが特徴ですが、すべての患者さんに適応するわけではありません。
また、失った骨が必ず再生するわけでも、治療後の歯磨きや定期検診が不要になるわけでもありません。
大切なのは新しい治療を受けること自体ではなく、現在のお口の状態を把握し、ご自身の歯を長く守るために適切な方法を選ぶことです。ブルーラジカルに関心がある方は、まず歯周病の進行度と治療の適応についてご相談ください。
北千住でブルーラジカル治療をご検討中の方へ
都歯デンタルクリニックでは、歯周病治療器「ブルーラジカルP-01」を導入しています。ブルーラジカル治療だけにとらわれず、歯周病の進行度や骨の状態、患者さんのご希望を踏まえて治療方針をご提案しています。「これまで歯周病治療を受けてきたけれど改善しない」「重度の歯周病と言われて不安」「自分に適しているか知りたい」という方も、まずはご相談ください。
※ブルーラジカルは自費診療です。治療適応や費用は個別に確認します。

略歴
- 日本大学歯学部 卒業
- 北海道大学大学院 歯学研究科 修了
- 北海道大学にて臨床研修
- 北海道内の一般歯科医院 勤務
- 松島歯科医院 勤務
- 高輪クリニック匠 副院長 勤務
- 大宮アルティマ歯科 院長 勤務
- 2024年12月 都歯デンタルクリニック 開院
所属学会
- 日本歯科保存学会
- 日本口腔インプラント学会
資格
- 歯学博士
- 日本歯科保存学会認定医
医師情報:都歯デンタルクリニック公式・院長紹介

