「インプラントとは、そもそもどのような治療なのでしょうか」「自分の歯と何が違うのか、手術はどんな順序で進むのか知りたい」。歯を失った方や、抜歯が必要だと説明された方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
インプラントは、歯を失った場所の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付けて噛む機能を補う治療です。隣の健康な歯を大きく削らずに済む利点がありますが、外科手術や治療後の管理が必要で、すべての方に向くわけではありません。
私は、まず治療の仕組みと選択肢を知り、ご自身のお口に本当に必要かを一緒に考えることが大切だと考えています。この記事では、インプラントの構造から診査・手術・人工歯の装着までを、初めての方にもわかりやすく解説します。
- 01インプラントは「人工歯根・連結部・人工歯」の3つを基本とした治療です。
- 02歯を失った部分の機能を補う方法には、ブリッジ・入れ歯などの選択肢もあります。
- 03治療は相談と検査から始まり、必要な前処置・手術・骨との結合を待つ期間・人工歯の装着へと進みます。
- 04治療期間や費用は骨の状態、治療方法、追加処置の有無によって異なります。
- 05人工歯を装着した後も、毎日の清掃と歯科医院での定期管理が必要です。
目次
インプラントとは?失った歯を補う治療の基本
歯科でいう「インプラント治療」は、むし歯・歯周病・外傷などによって歯を失った部分に、主にチタン製の人工歯根を埋め込み、人工歯を固定する治療です。人工歯根は顎の骨と結合する性質を利用して安定性を得ます。
ブリッジのように両隣の歯を支えとして大きく削ることを原則必要とせず、一般的な取り外し式の入れ歯と違い、日常的に外す必要がない点が特徴です。ただし、「インプラント=元の天然歯が戻る」という意味ではありません。
歯が1本だけ欠けている場合にも、複数本失っている場合にも、治療の選択肢となることがあります。反対に、歯の保存が可能な場合や全身状態・骨の条件によっては、別の治療が適する場合もあります。
日本口腔インプラント学会も、失った歯の部位に人工歯根を埋めて義歯を装着する治療として説明しています。
歯を失ったままにせず、まず現在の状態を確認する
歯を失った後は、残っている歯に噛む負担が偏ったり、歯並び・噛み合わせが変化したりする場合があります。一方で、どの欠損も必ずインプラントで補うべきというわけではありません。
失った歯の位置、残っている歯の状態、対合歯(噛み合う歯)の有無などを確認し、どの治療方法が適しているかを判断します。
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インプラントを構成する3つの部分
インプラントは一般的に、顎の骨の中に入る「インプラント体」、人工歯をつなぐ「アバットメント」、噛む部分を担う「上部構造(人工歯)」の3つで構成されます。3つの部分を理解すると、見積もりや修理の説明も理解しやすくなります。

① インプラント体(人工歯根)
顎の骨に埋め込む部分です。主にチタンやチタン合金が使われ、骨との結合を利用して人工歯を支えます。埋め込む位置や角度は、骨や神経などの位置関係を調べて計画する必要があります。
② アバットメント(連結部)
骨に固定されたインプラント体と、口の中で見える人工歯をつなぐ部品です。種類や固定方法は症例・製品によって異なります。ゆるみなどの問題が起きた場合は、部品の状態を確認して対処します。
③ 上部構造(人工歯)
実際に食べ物を噛む部分で、ジルコニアなどの材料が使われます。周囲の歯との色・形・噛み合わせに配慮しながら製作します。人工歯が破損した場合でも、必ずしも骨の中のインプラント体を入れ直すわけではありません。
なお、天然歯には歯根と骨の間に「歯根膜」がありますが、インプラントにはありません。噛む感覚や周囲組織の構造が天然歯と異なるため、天然歯と同じように管理不要とは考えないことが大切です。
インプラント治療の流れを6ステップで解説
インプラント治療は、いきなり人工歯根を埋め込むところから始まるわけではありません。検査と治療計画を立て、お口の状態を整えたうえで手術を行うのが基本です。

STEP1|相談・カウンセリング
まず、歯を失って困っていること、治療に期待すること、手術への不安などを伺います。全身の病気や服薬状況、喫煙習慣についても確認します。インプラント以外の選択肢も説明したうえで、一緒に治療方法を考えます。
STEP2|口腔内検査・CT撮影・治療計画
むし歯や歯周病の状態、噛み合わせ、顎の骨の厚み・高さなどを調べます。必要に応じてCTで神経や上顎洞との距離を立体的に確認し、埋入位置と人工歯の形を計画します。骨の状態によっては、追加処置や治療方法の変更が必要になることがあります。
STEP3|必要な前処置とインプラント埋入手術
歯周病やむし歯の治療、抜歯などが必要な場合は、先に口腔内を整えます。その後、局所麻酔などを使用して顎の骨にインプラント体を埋め込みます。手術後には痛み・腫れ・出血などが生じることがあり、すべての合併症をなくすことはできません。
STEP4|骨との結合を待つ期間
埋入したインプラント体が周囲の骨と結合し、安定するまで経過を確認します。必要な期間は骨の状態や部位、骨造成の有無などにより異なります。この期間に仮歯を使えるかどうかも、噛む力や初期固定の状態などによって判断します。
STEP5|人工歯の製作・装着
状態が安定したら、型取りなどを行って上部構造を製作します。色・形・隣の歯との接触・噛み合わせを確認して装着します。「噛めるようになること」と「周囲の歯に過度な負担をかけないこと」の両方を考えます。
STEP6|メンテナンス
人工歯の装着が完了しても、治療後の管理は続きます。歯磨きや補助清掃用具の使い方を確認し、定期的に歯ぐき、噛み合わせ、人工歯の状態を診査します。インプラント周囲炎などを防ぐためにも、セルフケアと定期受診は欠かせません。
ブリッジ・入れ歯と何が違う?
歯を失ったときの主な選択肢には、インプラント、ブリッジ、入れ歯があります。治療方法ごとに、隣の歯への影響、手術の有無、取り外しの必要性などが異なります。
| 比較項目 | インプラント | ブリッジ | 部分入れ歯 |
|---|---|---|---|
| 支え方 | 顎の骨に人工歯根を埋入 | 隣の歯を支えに固定 | 残存歯などを支えに装着 |
| 外科手術 | 原則必要 | 通常不要 | 通常不要 |
| 隣の歯を削る | 原則大きく削らない | 支台歯を削る場合が多い | 設計による |
| 取り外し | 通常不要 | 不要 | 必要 |
| 費用の扱い | 原則自由診療 | 保険適用の選択肢あり | 保険適用の選択肢あり |
| 主な注意点 | 手術・費用・継続管理 | 支台歯への負担 | 違和感・清掃・維持管理 |
※一般的な比較です。歯の位置・本数・状態、材料や治療方法によって異なります。
選択肢になりやすいケース
- 健康な隣の歯をできるだけ削りたくない方
- 取り外さずに使える人工歯を希望する方
- 骨や全身状態などの治療条件が整っている方
- 治療後の定期管理に継続して通える方
別の方法も含めて検討したいケース
- 歯を残せる可能性があり、保存治療を検討できる場合
- 骨の状態や持病、服薬状況に注意が必要な場合
- 手術や長期間の通院が大きな負担になる場合
- 入れ歯やブリッジのほうが希望・条件に合う場合
インプラントが最善とは限らず、お口全体の状態と患者さんの希望から選ぶことが大切です。
治療にかかる期間と費用の基本
治療期間は患者さんごとに異なる
インプラントは、手術の後に骨との結合を待ち、人工歯を装着するまで複数の段階がある治療です。骨造成などが必要な場合は、追加の治癒期間が生じます。手術当日に最終的な人工歯が必ず入るとは限りません。
必要な通院回数・期間は症例ごとに異なるため、治療を始める前に予定を確認しましょう。治療期間については、今回とは別の専門記事でも詳しく解説する予定です。
費用は「人工歯が入るまでの総額」で確認する
一般的なインプラント治療は原則として自由診療です。都歯デンタルクリニックの公式サイトでは、インプラント体1本242,000円+フルジルコニア上部構造93,500円=335,500円(税込)という組み合わせ例を掲載しています。
| 当院の掲載料金例 | 金額(税込) |
|---|---|
| インプラント1本(SA) | 242,000円 |
| 上部構造(フルジルコニア) | 93,500円 |
| 上記の組み合わせ | 335,500円 |
この金額は特定の組み合わせ例であり、患者さん全員の治療総額が335,500円になるわけではありません。骨造成やガイドなどの追加処置、使用する材料によって費用が異なります。
※医院の最新の料金と適用条件は当院のインプラント診療ページでご確認ください。費用の詳細や手術のデメリットは別のテーマと重なるため、ここでは基本的な考え方にとどめます。
インプラント治療を始める前に確認したいこと
治療を始める前に、次の5点を確認することをおすすめします。どれも「治療を受けるかどうか」を判断する材料です。
- 歯を残す選択肢があるか:抜歯・インプラント以外の保存治療についても説明を受ける。
- 骨・歯ぐき・全身状態の条件:CT検査、歯周病、糖尿病、骨粗しょう症関連薬などを含めて評価する。
- 手術のリスクと対応:痛み・腫れ・感染・神経への影響など、考えられる合併症を確認する。
- 費用と通院計画:検査から人工歯の装着までの見積もり、通院回数、追加処置を確認する。
- 治療後の管理:歯磨き、定期検診、保証・修理の条件を確認する。
持病がある方や薬を服用している方は、自己判断で薬を中止せず、事前に歯科医師へ伝えてください。
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都歯デンタルクリニックのインプラント治療
当院では、まず可能な限りご自身の歯を残すことを大切にしています。そのうえで、歯を失った場合や保存が難しい場合は、残っている歯への負担、骨や歯ぐきの状態、噛み合わせを踏まえて治療を考えます。
CTによる立体的な診断と手術計画
CTで顎の骨や周囲の構造を把握し、治療計画を検討します。症例に応じて手術用ガイド「OneGuide」などの技術を活用し、計画した位置への埋入を補助します。機器を使えば手術リスクがゼロになるわけではありません。
骨量不足や手術への不安にも個別に対応
骨が不足する場合には、骨造成が適するか検討することがあります。また、手術への強い不安がある方には、全身状態などを確認して静脈内鎮静法を選択肢として説明することがあります。いずれもすべての方に適用できるわけではありません。
人工歯を装着した後の管理まで重視
インプラント周囲炎をはじめとするトラブルを早めに見つけるため、清掃状況や噛み合わせを継続して確認します。治療を決める際は、何年先も管理を続けられる体制かどうかも判断の一つにしてください。
診療案内|インプラント治療都歯デンタルクリニックのインプラント治療当院の設備、骨造成、費用などの詳しい説明をご覧いただけます。
A. いいえ。一般に差し歯は残っている歯根を利用して人工歯を固定する治療を指すのに対し、インプラントは歯根そのものを失った場所に人工歯根を埋め込む治療です。適応は残っている歯の状態によって異なります。
A. はい。歯を1本失った場合でも治療の選択肢になります。ただし、骨や隣の歯、噛み合わせの状態などを検査し、適応を判断します。
A. 通常は局所麻酔を使って痛みを抑えます。麻酔の効き方には個人差があり、術後に腫れや痛みが生じることがあります。不安が強い方は、麻酔や鎮静法の適応について相談してください。
A. 症例によっては仮歯の装着を検討できる場合がありますが、誰でも当日に最終的な人工歯が入るわけではありません。骨の状態や初期固定、噛む力などを確認して判断します。
A. 一般的な歯の欠損に対するインプラントは、原則として自由診療です。顎の大きな欠損や特定の先天性疾患などでは例外的に保険適用の対象となる場合があります。詳しくは日本口腔インプラント学会の説明をご確認ください。
A. 一律の寿命を保証できるものではなく、骨や周囲組織の状態、喫煙、歯周病、清掃・定期管理などによって異なります。人工歯の修理が必要になる場合もあります。治療後の管理を続けることが重要です。
A. もちろんです。ブリッジや入れ歯、状態によっては歯の保存を検討することもあります。メリットとデメリットを比較し、納得できる方法を一緒に考えましょう。
インプラントとは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、人工歯を装着して失った歯の機能を補う治療です。基本の構造はインプラント体・アバットメント・上部構造の3つで、治療は検査・計画・手術・骨との結合・人工歯の装着・継続管理という段階を経ます。
インプラントは便利な選択肢ですが、歯を失った人全員に必要な治療ではありません。私は、お口全体の状態を調べ、他の治療法も比較したうえで選んでいただくことを大切にしています。
北千住でインプラントについて相談したい方は、まず検査とカウンセリングで現在のお口の状態を確認することから始めましょう。
北千住でインプラント治療をご検討中の方へ
「インプラントが自分に合うか知りたい」「歯を残せる可能性を確認したい」「費用と治療の進め方を聞いてから決めたい」という方も、お気軽にご相談ください。治療方法は十分な説明を受け、納得してから選ぶことが大切です。
※インプラント治療は自費診療です。治療適応や費用は個別に確認します。

略歴
- 日本大学歯学部 卒業
- 北海道大学大学院 歯学研究科 修了
- 北海道大学にて臨床研修
- 北海道内の一般歯科医院 勤務
- 松島歯科医院 勤務
- 高輪クリニック匠 副院長 勤務
- 大宮アルティマ歯科 院長 勤務
- 2024年12月 都歯デンタルクリニック 開院
所属学会
- 日本歯科保存学会
- 日本口腔インプラント学会
資格
- 歯学博士
- 日本歯科保存学会認定医
医師情報:都歯デンタルクリニック公式・院長紹介

