COLUMNコラム

2026年11月1日コラム

インプラントのデメリット7つ|治療前に知っておきたいリスクと対策を歯科医が解説

IMPLANT · DEMERITS GUIDE

執筆・監修:櫻井 敦中(都歯デンタルクリニック 院長/歯学博士)

「インプラントは自分の歯のように噛めると聞くけれど、デメリットはないの?」「手術を受けてから後悔しないか心配……」

インプラント治療を検討されている方のなかには、このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

インプラントは、失った歯の機能を補い、周囲の健康な歯を大きく削らずに治療できる選択肢です。一方で、外科手術が必要になること、費用が高額になりやすいこと、治療後も継続的な管理が必要になることなど、知っておくべきデメリットがあります。

私は歯科医師として、インプラントのメリットだけでなく、デメリットも十分に理解したうえで、ご自身に合った治療方法を選んでいただくことが大切だと考えています。

この記事では、インプラントの代表的な7つのデメリットと対策、治療を慎重に判断する必要があるケース、治療前に確認したいポイントについて解説します。

この記事のポイント
  • 01インプラントには7つの代表的なデメリットがあり、手術・費用・治療期間・感染・骨の状態・噛む感覚・メンテナンスが関係します。
  • 02デメリットがあるからといって、すべての方に向かないわけではありません。
  • 03CTなどの精密検査、適切な治療計画、日々のセルフケア、定期的な管理によって、リスクの低減を目指せます。
  • 04インプラント以外にも、ブリッジや入れ歯などの選択肢があります。
  • 05大切なのはインプラントを入れること自体ではなく、残っている歯を守り、長く快適に噛める状態を目指すことです。

インプラントにはどんなデメリットがある?

インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療方法です。

周囲の歯を大きく削る必要がなく、固定式の人工歯によって噛む機能の回復を目指せる一方、天然歯を完全に再現できる治療ではありません。

公益社団法人日本口腔インプラント学会も、治療費や治療期間、外科手術、感染、骨の不足、噛む感覚の違いなどをデメリットとして挙げています。

出典:日本口腔インプラント学会「インプラントのメリット・デメリット」

インプラントのデメリットは、大きく分けて次の7つです。

デメリット 主な注意点
① 外科手術が必要 痛み・腫れ・出血・合併症
② 費用が高額になりやすい 自由診療・追加処置
③ 治療期間が長い 骨との結合を待つ期間
④ 感染のリスク インプラント周囲炎
⑤ 骨や全身状態によって制約がある 骨量不足・持病・服薬
⑥ 天然歯とは感覚が異なる 噛む感覚・見た目・食片圧入
⑦ 治療後の管理が必要 定期検診・部品の修理

ここからは、それぞれのデメリットについて、原因と対策を詳しく説明します。

インプラントの7つのデメリットと対策

インプラントの7つのデメリットと、それぞれの注意点を示す図解

① 外科手術が必要で、痛みや腫れが生じることがある

インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に埋め込む手術が必要です。

一般的には局所麻酔を使用するため、手術中の痛みを抑えることができます。ただし、麻酔の効果や痛みの感じ方には個人差があります。

また、麻酔が切れた後には、痛みや腫れ、出血、内出血などが生じることがあります。手術部位によっては、神経損傷や上顎洞に関連する合併症などにも注意が必要です。

インプラント手術は、決してリスクがゼロの治療ではありません。特に下顎では神経の位置、上顎では上顎洞の位置を正確に確認することが重要になります。

対策:CT検査と適切な手術計画

手術前にCTで顎の骨の形状や神経などの位置関係を確認し、適切な埋入位置を検討します。都歯デンタルクリニックでは、CTによる立体的な診断や、手術計画を補助するガイドシステム「OneGuide」を活用しています。

また、手術への恐怖心や緊張が強い方については、全身状態や適応を確認したうえで静脈内鎮静法を検討することも可能です。ただし、こうした設備や方法を使用しても、すべての合併症を防げるわけではありません。

出典:日本歯科医師会「インプラント」

② 治療費が高額になりやすい

一般的なインプラント治療は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療です。そのため、保険診療のブリッジや入れ歯に比べると、費用が高くなりやすい点がデメリットです。

また、見積もりに含まれる費用の範囲も歯科医院によって異なります。インプラント体の埋入費用だけでなく、人工歯、検査、必要に応じた骨造成などの費用も確認する必要があります。

対策:人工歯が入るまでの総額を確認する

当院の公式サイトでは、インプラント1本242,000円(税込)とフルジルコニア上部構造93,500円(税込)を組み合わせた、335,500円(税込)の料金例を掲載しています。

これは特定の材料の組み合わせ例であり、すべての患者さんが335,500円で治療できるという意味ではありません。骨造成などが必要な場合は追加費用が発生する可能性があります。

見積もりでは、人工歯が装着されるまでの費用総額、追加処置の可能性、保証やメンテナンスの条件まで確認しましょう。詳しい費用の考え方は、当院のインプラント診療ページでもご案内しています。

③ 治療期間が長くなる場合がある

インプラントは、手術を受けたその日に必ず最終的な人工歯が完成する治療ではありません。

人工歯根と顎の骨が結合するためには一定の期間が必要です。その後、人工歯の作製や噛み合わせの調整を行います。

骨の状態が良好であれば比較的短期間で治療を進められるケースもありますが、骨造成などが必要な場合はさらに時間がかかることがあります。また、治療期間中に複数回の通院が必要になることもデメリットの一つです。

対策:治療開始前に期間と通院回数を確認する

治療開始前には、次の点を確認しましょう。

  • 手術までに必要な検査や治療
  • 人工歯根と骨の結合を待つ期間
  • 仮歯の使用可否
  • 最終的な人工歯が入る時期
  • 通院回数の目安

お仕事や日常生活への影響も考慮したうえで、無理のない治療計画を立てることが大切です。なお、治療期間については今後公開予定の記事で詳しく解説します。

④ インプラント周囲炎などの感染リスクがある

インプラントそのものは人工物のため、むし歯にはなりません。しかし、インプラントを支えている周囲の歯ぐきや骨には炎症が起こることがあります。

代表的なものが「インプラント周囲炎」です。インプラントの周囲に炎症が起こり、歯を支える骨の吸収を伴う病気で、進行するとインプラントの維持が難しくなる場合もあります。

天然歯には歯根膜という組織がありますが、インプラントにはありません。周囲組織の構造が異なるため、天然歯とは違う特徴を踏まえた管理が必要です。

対策:毎日の清掃と定期メンテナンス

インプラント周囲炎のリスクを減らすためには、日常的な歯磨きに加え、歯間ブラシなどを用いた清掃と定期的な歯科医院での管理が重要です。特に、歯ぐきの出血、腫れ、違和感、噛んだときの痛みなどがある場合は、早めに歯科医院へ相談してください。

出典:日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」

関連記事|インプラント周囲炎インプラント周囲炎が怖い理由|天然歯の歯周病との構造的違いインプラント特有の感染リスクと、天然歯との構造的な違いを詳しく解説しています。

⑤ 顎の骨や全身状態によって治療が難しい場合がある

インプラントを安定して支えるためには、埋入する部分の骨の状態が重要です。歯を失ってから長い時間が経過していたり、重度の歯周病などによって骨が減少していたりすると、通常の方法ではインプラントを埋め込むことが難しい場合があります。

また、糖尿病のコントロール状態、骨粗しょう症に関連する薬剤の使用、喫煙習慣なども、治療方針を検討する際の重要な情報です。これらに該当するからといって、必ずインプラントができないわけではありません。

持病の種類や治療状況、服薬内容、口腔内の状態を総合的に判断する必要があります。

対策:全身状態を含めた診査・診断

当院では、骨の状態によって必要に応じて骨造成などを検討しています。しかし、骨造成を行えば必ずインプラントが可能になるわけではありません。

また、持病や服薬状況によっては、医科の主治医と連携しながら治療の適応を判断する場合があります。服用中の薬を自己判断で中止せず、お薬手帳などを持参して相談しましょう。

⑥ 天然歯とまったく同じ噛む感覚にはならない

インプラントは、固定式の人工歯によって噛む機能の回復を目指せます。ただし、天然歯にある歯根膜がないため、噛んだ際の感覚や力の伝わり方は天然歯と異なります。

また、治療部位や周囲の歯ぐきの状態によっては、見た目が天然歯と完全には一致しないこともあります。歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなるケースもあり、治療後の調整が必要になる場合があります。

対策:噛み合わせと人工歯の形を調整する

治療前には、失った歯だけでなく、お口全体の噛み合わせを確認することが大切です。人工歯の色や形、隣接する歯との接触、噛み合わせを調整し、無理なく使える状態を目指します。

ただし、治療によって天然歯と完全に同じ感覚が再現できるとは限らないことを理解しておきましょう。

⑦ 治療後もメンテナンス費用や修理が必要になる場合がある

インプラントは、人工歯を装着したら管理が不要になるものではありません。長期的に使用していくなかで、人工歯が欠けたり、連結部分のネジが緩んだりする場合があります。

また、インプラント周囲の組織の状態が変化すると、再治療が必要になることもあります。問題が起こった場所によって対応方法は異なり、人工歯の修理で済む場合もあれば、インプラント体の撤去が必要になる場合もあります。

対策:治療後の管理体制と保証条件を確認する

インプラント治療を検討する際は、初期費用だけでなく、治療後の管理も含めて考える必要があります。当院では、治療後のメンテナンスを重視し、保証制度についても公式サイトでご案内しています。

保証には期間や受診条件などがあるため、治療前に内容を確認してください。

インプラントが向いている人・慎重に検討したい人

ここまで7つのデメリットを説明しましたが、すべての方に同じリスクが生じるわけではありません。インプラント治療の適応は、口腔内や全身の状態、患者さんのご希望によって異なります。

選択肢になりやすい方

  • 健康な隣の歯をできるだけ削りたくない方
  • 固定式の人工歯を希望する方
  • 入れ歯の取り外しに負担を感じている方
  • 定期的なメンテナンスに通える方
  • 検査の結果、骨や全身状態が治療に適している方

慎重に検討したい方

  • 歯周病やむし歯の治療が十分に終わっていない方
  • 糖尿病などの持病の管理状況に課題がある方
  • 骨粗しょう症関連の薬などを服用している方
  • 喫煙習慣があり、口腔内の管理が難しい方
  • 治療後の定期通院が難しい方
  • 外科手術や長期間の治療に強い抵抗がある方

ここで重要なのは、慎重に検討したい条件に当てはまっても、必ずインプラント治療ができないわけではないという点です。十分な検査と相談を行い、患者さんごとに判断することが大切です。

インプラントとブリッジ・入れ歯のデメリットを比較

歯を失った場合、インプラント以外にも、ブリッジや入れ歯などの治療方法があります。どの治療法にもメリットとデメリットがあり、インプラントだけが優れているわけではありません。

比較項目 インプラント ブリッジ 部分入れ歯
外科手術 原則必要 通常不要 通常不要
隣の歯を削る必要 原則不要 支台歯を削る 状況による
取り外し 通常不要 不要 必要
治療期間 比較的長い 比較的短い 比較的短い
費用 原則自由診療 保険適用の選択肢あり 保険適用の選択肢あり
主なデメリット 手術・費用・長期管理 支台歯への負担 違和感・清掃の手間

※一般的な治療方法の比較です。歯の位置・本数・状態によって適応は異なります。

例えば、隣の歯が健康な場合は、できるだけ削らない治療方法を検討する価値があります。一方で、手術が難しい方や、治療費・通院期間を優先したい方にとっては、ブリッジや入れ歯が適切な場合もあります。

出典:国民生活センター「インプラント治療を受ける前に知っておきたい基礎知識」

インプラントのデメリットを減らすために治療前に確認したい5つのこと

インプラントのデメリットを理解したら、次は具体的にどのような点を確認すればよいのでしょうか。私は、治療前の相談では以下の5つを確認することが重要だと考えています。

インプラント治療前に確認したい5つのポイントを示す図解

1. 本当にインプラントが必要なのか

現在の歯を残せる可能性がある場合は、まず保存治療の選択肢を検討します。また、歯を失っている場合でも、インプラント以外の方法が適していることがあります。

2. 手術のリスクはどの程度あるのか

CT検査などで骨や神経の位置を確認し、患者さんごとのリスクについて説明を受けましょう。どのような合併症が考えられるのか、起きた場合にどう対応するのかも重要です。

3. 治療費の総額はいくらか

人工歯根だけでなく、最終的な人工歯、検査、必要な追加処置まで含めた総額を確認しましょう。

4. 治療完了までどのくらいかかるのか

手術までの準備期間、骨との結合を待つ期間、仮歯の使用可否、通院回数などを確認します。

5. 治療後はどのように管理するのか

定期検診の頻度や費用、セルフケアの方法、保証条件、転居などで通院が難しくなった場合の対応について確認しておきましょう。

この5つを事前に理解することが、納得して治療方法を選ぶための大切な準備になります。

都歯デンタルクリニックのインプラント治療

当院では、できるだけご自身の歯を残すことを大切にしています。歯を失った場合や保存が難しい場合には、残っている歯への負担や噛み合わせを考慮し、インプラントを含めた治療方法をご提案しています。

CTと手術用ガイドを用いた治療計画

当院では、CTによる立体的な診断を活用し、顎の骨や周囲の解剖学的構造を確認します。また、症例に応じてOneGuideシステムを用い、事前に計画した埋入位置を手術時に再現しやすくする取り組みを行っています。

手術への不安にも配慮

手術への不安が強い患者さんには、全身状態や適応に応じて静脈内鎮静法を検討することもできます。ただし、鎮静法はすべての患者さんに必要なものではなく、適応の確認が必要です。

治療後のメンテナンスを重視

インプラントを長く使用するためには、手術そのものだけでなく、治療後の管理が重要です。当院では、定期的な清掃や噛み合わせの確認などを通して、お口の健康維持をサポートしています。

診療案内|インプラント治療都歯デンタルクリニックのインプラント治療治療の流れや設備、費用の考え方を診療ページでご確認いただけます。

インプラントのデメリットに関するよくある質問
Q. インプラントはデメリットが多いので、やめた方がいいですか?

A. デメリットがあるという理由だけで、一律に避ける必要はありません。インプラントには、健康な隣の歯を大きく削らずに噛む機能を回復できるなどのメリットがあります。一方、全身状態や骨の条件、費用、治療後の管理などを踏まえ、別の治療方法が適切になる場合もあります。

Q. インプラント手術は危険ですか?

A. 外科手術のため、痛み・腫れ・出血・感染・神経損傷などのリスクがあります。適切な診査・診断や治療計画によってリスクを低減することはできますが、完全になくすことはできません。

Q. インプラントをすると将来必ず再手術が必要になりますか?

A. 必ず再手術が必要になるわけではありません。ただし、人工歯の破損やネジの緩み、周囲組織の炎症などが起こる可能性があり、状況によって修理や再治療が必要になる場合があります。

Q. インプラントは高齢になっても使えますか?

A. 適切な管理によって長期間使用できる可能性があります。ただし、年齢を重ねると全身状態やセルフケア能力、通院環境などが変化することもあります。治療前から将来の管理について考えることが大切です。

Q. インプラントとブリッジではどちらがよいですか?

A. 隣の歯の状態や噛み合わせ、骨の状態、費用、治療期間などによって適切な方法は異なります。インプラントは隣の歯を大きく削らずに済む一方、外科手術が必要です。ブリッジは一般的に手術が不要ですが、支えとなる歯を削る場合があります。

Q. インプラントを入れた後も歯医者に通う必要がありますか?

A. はい。インプラントはむし歯にはなりませんが、周囲の歯ぐきや骨には炎症が起こることがあります。長期的な維持のために、日々のセルフケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスが必要です。

まとめ|デメリットを理解したうえで納得できる治療を選びましょう

インプラントには、外科手術が必要になること、費用や治療期間の負担、感染のリスク、継続的なメンテナンスなど、知っておきたいデメリットがあります。一方で、健康な隣の歯を大きく削らずに治療できることや、固定式の人工歯で噛む機能の回復を目指せることは、大きなメリットです。

インプラントがよい治療になるかどうかは、患者さんのお口の状態や全身状態、生活環境、ご希望によって変わります。

私は、歯科医師として、患者さんが十分な説明を受け、納得して治療方法を選べることが大切だと考えています。インプラントのメリットだけでなくデメリットも理解し、ご自身にとって無理のない治療を検討しましょう。

北千住でインプラント治療をご検討中の方へ

「インプラントが自分に向いているか知りたい」「他の治療方法と比較してから決めたい」という方も、お気軽にご相談ください。歯を残す可能性や噛み合わせ、骨の状態などを確認し、患者さんのご希望を踏まえた治療方法をご案内しています。治療を急いで決める必要はありません。まずは現在のお口の状態を把握することから始めましょう。

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※インプラント治療は自費診療です。治療適応や費用は個別に確認します。

執筆・監修医師プロフィール
都歯デンタルクリニック院長・歯学博士 櫻井敦中先生の写真と略歴、所属学会、資格を掲載した著者情報画像

櫻井 敦中(さくらい あつなか)|都歯デンタルクリニック 院長/歯学博士

略歴

  • 日本大学歯学部 卒業
  • 北海道大学大学院 歯学研究科 修了
  • 北海道大学にて臨床研修
  • 北海道内の一般歯科医院 勤務
  • 松島歯科医院 勤務
  • 高輪クリニック匠 副院長 勤務
  • 大宮アルティマ歯科 院長 勤務
  • 2024年12月 都歯デンタルクリニック 開院

所属学会

  • 日本歯科保存学会
  • 日本口腔インプラント学会

資格

  • 歯学博士
  • 日本歯科保存学会認定医

医師情報:都歯デンタルクリニック公式・院長紹介

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歯科医師
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